少し復習です。
トレーニングの三大原理には、過負荷の原理と可逆性の原理がありました。
残り1つが本どのテーマ、特異性の原理です。
特異性の原理とは?
身体を動かす場合、目的によって使われる筋肉が変わってきます。
これが特異性を持っているということです。
このことから、特異性の原理とは、
「目的によってトレーニングの種類を変える必要がある」
ということです。
特異性の原理の具体例
私の大好きなテニスを例に、特異性の原理について、もう少し具体的に説明します。
テニスは、サーブから始まり、そのボールをレシーブし、
ストロークという打ち合いが行われます。
その間、踏ん張ったり走ったりと、脚全体をよく使います。
また、ボールを打つ行為には、腕の力が必要です。
※どちらにも体幹が非常に重要ですが、ここでは体幹は考えないこととします。
特異性の原理からすると、走りを強化したければ、ランニングや、脚の筋トレをします。
ただ、どちらかというと、筋肉のパワーよりスタミナがほしいので、
持久力upのトレーニングが好ましいです。
また、ボールを強く打つには、腕の筋力や手首の強化が良いでしょう。
サーブを強化するには、肩も重要です。
さらに言うなら、筋トレだけでなく、実際に打つ練習が必要です。
運動を行うと、無意識にいろんな情報が小脳に集まっています。
これは運動のフィードバックと言います。
運動→フィードバック→運動の修正→フィードバック→運動の修正…
と繰り返されることで、運動(スポーツ)は上達していきます。
この働きが特異性の原理に大きく関わってくるのです。
様々な特異性
具体例を挙げましたが、特異性には様々なパターンがあります。
筋肉の働き方(収縮)
筋肉には、筋肉が縮む方向に働く求心(短縮)性収縮と、
そのままの状態で働く等尺性収縮、
そして、筋肉が伸びる方向に働く遠心(伸張)性収縮があります。
力こぶをつくる上腕二頭筋で収縮の違いを説明します。
ダンベルを手に持っているとして、肘を曲げる運動が上腕二頭筋の求心性収縮です。
ダンベルをそのままの位置でキープしている間は等尺性収縮が働いています。
肘を曲げた状態から伸ばしているときには、上腕二頭筋は遠心性収縮しています。
特異性の原理はこれらにも働きます。
つまり、求心性収縮のトレーニングをすると、求心性の筋力が上がりますが、
他の収縮様式の筋力は上がりません。
等尺性、遠心性収縮も同じことです。
運動パターン
スポーツなどのパフォーマンスを向上させるには、様々な練習が必要です。
その練習を通して、脳が学習し、筋肉を動かしている神経も発達していきます。
しかし、その神経の発達は、神経を使っている動きによって引き起こされたものなので、
別の動きやスポーツでは十分に発揮されない可能性があります。
つまり、速く走りたければ速く走る練習をした方が、そのための筋力を効率よく獲得でき、
長く走りたければ長く走る練習をした方が、そのための筋力を効率よく獲得できるのです。
運動の速度や負荷
運動やトレーニングがゆっくりとした速度で行うものであれば、そのゆっくりとした
動きでの筋力が発揮しやすくなります。
逆に、速く行うものであれば、速い動きでの筋力が発揮しやすくなります。
負荷に関しては、過負荷の原則でも触れましたが、
最大筋力を上げたい場合、1RM程度の負荷でトレーニングすると効果が大きくなります。
最大速度を上げたい場合は、負荷はない(最大速度を出せる)状態でトレーニングを
した方が効果は大きくなります。
様々な特異性
運動の様式やスポーツなどの条件が変わると、使用される筋肉や筋力が変わってくるので、目的によってトレーニングの種類を変える必要がある。
特異性の原理には脳や神経の働きが、特に深く関わっている。
あくまで、目的に合ったトレーニングをしましょう!という原理です。
何か特別な動きをしろというわけではありませんので、正しいトレーニング方法を
行うようにしてください。
次からは残りの4原則を説明していきます!
Twitter でぱごろも@くすぶり系PTをフォローしよう!
Follow @pagoromo89